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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第23章 本音








どのくらい経ったんだろう。
私の目は泣きすぎて真っ赤に腫れあがっていた。
お互いの存在を確かめ合うように強く抱きしめあっていた私たちはゆっくりと身体を離し見つめ合う。
その時、私は五条悟の瞳が濡れているのに気づいた。
もしかしてこいつも泣いていたのか。
なんで、オマエも泣いてんだよって言いたかったけど声を出したらまた泣きそうで、私はぎゅっと口を噛んだ。

現代最強と謳われている五条悟のこんな姿なんて一生に見るか見ないかの奇跡的瞬間じゃないか。
しかも泣かせたのが私だと思うと、少しだけ気分もよくなる。
そう思ったら噴き出していた。

「……なに笑ってんの」

鼻水を啜る五条悟は照れくさそうに顔を背けた。

「オマエの泣いてるところ初めて見た」
「は?僕が泣くわけないじゃん。心の汗だよ」
「汚いな。拭けよ」

二人でティッシュを取って鼻をかんで、涙を拭いた。
泣きすぎて頭が痛い。
目を冷やすためにタオルを取りに行こうと五条悟がソファから立ち上がった。
が、私はその腕を掴む。

「?」
「あのさ、手、出してくんね?」
「なんで?」
「なんでも」

私の言葉に五条悟は首を傾げながらも、手を差し出した。
私は五条悟の手の前に人差し指と中指で作ったチョキを出す。

「私の勝ち」
「ちょっと待って。それは……」
「前にオマエがやった手を使ってみた」
「……」
「卑怯もクソもないんだろ。勝負は勝負なんだから」
「そんな前のことよく覚えてたね」
「記憶力には自信があるからな」

クスクスと笑えば、五条悟は観念したように小さく息を吐いた。





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