第23章 本音
再びぎゅうっと抱きしめられ、顔の横に五条悟の顔があって。
少し汗ばんでて、きゅうっと心臓が締め付けられるほど切なく愛おしくなった。
「ごじょ……」
「―――好きだ」
私の耳元で、五条悟の低い声が響いた。
目を大きく見開き、聞き間違いじゃないかって思ったのに。
五条悟はまた私の耳元で「好きだよ、」って言って。
私だって。
私だって……私の方がずっとずっと前から……。
「ご、ごじょ……」
「うん?」
「っ……は……ぁ、わ、私……」
「ゆっくりでいいよ」
唇が震えてしまって、上手に話すことができない。
そんな私に五条悟は溶けてしまいそうなほど甘ったるい表情を見せて微笑んだ。
感情が爆発して、私は大粒の涙をこぼした。
優しく背中をさすってくれる大きな手の平。
低くて居心地のいい声。
柔らかい白い髪の毛、インクを零したような綺麗な瞳。
呪術師最強でクズで我儘で子供っぽくて意地悪だけど。
温かくて優しくて私の目標で……。
ずっとずっと閉じ込めて溜め込んでいた気持ちは、奥底で固まりになってしまったかのように、呪いをかけられてしまったかのように、言葉になって出てこない。
どうして。
どうして、ずっと思っていたことが、ずっと叫んでいたことが。
たった二文字の言葉が、言えないんだよ。
胸も喉も何もかもは詰まってしまって。
息ができなくて、ただ漏れるのは私の嗚咽のみ。
伝えられないことがこんなにもどかしくて苦しいだなんて。
溢れる涙は五条悟の肩を濡らした。
とめどなく溢れて、止まることなど知らずに。