第23章 本音
買い物から帰ってきたのは19時を回った頃。
部屋に荷物を置き、お風呂にでも入ろうかと思った時スマホが震えた。
スマホを見ると、五条悟からのラインが。
内容は「今からあのセーフハウスの来れるか」とのこと。
どくりと私の中に流れる赤い液体が重く速く全身を巡った。
フィルターがかかったように霞んでしまうが、蘇るのは五条悟と知らない女の姿。
正直、行きたくはなかった。
もうあの場所には行かないって決めていたけど、でも揺らいでしまうのは、私があいつに想いを寄せていて会いたいって思ってしまっているからなんだ。
高専では何度か顔を合わせているけど、二人きりではないから、私はそれを望んでいる。
息を軽く吐いて、私は部屋を出た。
車があればすぐなんだけど、あまり知られたくないから私は徒歩と電車を使ってセーフハウスへと向かう。
その間の時間はまるで永遠のように長く感じた。
たった数十分の道のりだと言うのに。
マンション前に着き、私はまた息を吐いた。
緊張している。
足が竦んで震えている。
怖い。
だけど、私は覚悟を決めてエントランスへと入りあの部屋の前へと進んだ。
固く閉ざされた扉を前に、私はインターホンを押すべきかピッキングで開けるべきか悩んだ。
どっちが正しいんだろう。
いや、普通に考えればインターホンなんだろうけど、思えば私はまともな方法で部屋に入った事がないから、いざまともな方法で入ろうとすると正しいのか正しくないのかの判断がうまくできない。
よし、今まで通りピッキングで入ろう。
良かった、ピッキング道具はちゃんとあるな。