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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第23章 本音







「……ん、」

小さな声を漏らし、の瞳がゆっくりと開かれる。
傑と似た瞳が、僕を見つめる。

「ご、じょう……さとる?」
「ごめん、起こした?もう少し寝てな。大丈夫。僕が側にいるから」
「……う、ん」

赤ん坊をあやすようにそう言ってやれば、彼女は少しだけ微笑んでまた眠りについた。
手を出すつもりはさらさらないけど、これだけは許してくれないかな、硝子。
僕の脳内に住み着く硝子に謝罪をしながら、僕はの額へと唇を寄せた。
小さなリップ音と共に額から唇を離し、彼女の寝顔を見つめる。

傑が離反した日。
僕はアイツの嘘を見抜くことができなかった。
張り付けられた笑み、取り繕った言葉、本当のことすら全て隠して、上っ面だけのそれらを僕は傑の「本当」だと思い込んでいた。
何も、見ていなかったんだ。
「親友」という言葉に僕は満足していた。
それが僕らを繋ぐ最強の絆だと。

その結果がこれだ。
傑は救いを求めてはいないようだった。
僕の言葉が届かない時点でそれは確信した。
どちらにせよ、多分傑の選ぶ道は向こう側だったと思う。

クソ真面目な奴だったから、義務とか責任とかを全部背負いこんで押しつぶされて。
バカだよ。
逃げればよかったのに、全部捨ててしまえばよかったのに。

どうして僕を置いて行ったのか。
傑の創りたい世界を僕ならできるとか言っておいて。
だったら僕も連れて行けよ。
置いていくんじゃねえよ。
オマエも僕と同じで寂しんぼなんだからさ。

ずっと後悔しているよ。
過去を思い出すたびに。
でもそんなことしたって傑が戻ってくるわけでもないし、傑のしたことが消える訳でもない。
だから僕は後悔していないふりをしているだけなんだよ。
そう言う嘘を僕は僕自身にもにもついているんだ。

ちゃんと怪我が治ったら今までついた嘘も傷つけてしまった事も全て懺悔するから。
早く怪我を治すんだよ。

の頬を優しく撫で、僕はベッドから腰を上げてカーテンを閉めた。




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