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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第23章 本音








独房を後にし、僕は再び医務室へ足を運ぶ。
扉を開けるとカーテンは閉められていて、硝子曰く蓄積された緊張や不安、恐怖から解放されたため深く眠っているらしい。

「遺体の解剖してくるから席を外すが、くれぐれも変なことはするなよ」
「しないよ」

いくら僕でも時と場合は弁えるさ。
医務室を出ていく硝子を見送り、僕は静かにカーテンを開けた。
硝子の言う通りは深い夢の世界にいた。

ベッドの端に腰を掛ければスプリングが鳴る。
身じろぐ彼女だったが起きる気配はない。
を起こさないように手首の痣や身体にできた傷を確認しようと服を少しだけめくった。
が、あれだけあった無数の痛々しいそれらはどこにも見当たらず、安堵の息を吐く。
よかった、変に傷跡が残らなくて。
そっと服を戻し毛布を掛け、気持ちよさそうに眠る彼女の頭を撫でた。

彼女をここまで追いつめたのは僕だ。
こんな僕が彼女を守ることができるのかと不安に襲われる。
最強と謂われているのに、たった一人の女さえ助けることもできないなんて。
守ることができないなら側にいない方がいいんじゃないかって少しは思ってるけど、でも生憎僕は我儘で我の強い人間だから、離れるなんてことはしない。
手放して後悔するのは、あの時だけでいい。

昔、に「自分の過去を後悔するつもりもお前に懺悔するつもりもない」って言ったことがあったけど。
ごめん、それ嘘。
最善の事をしたから本当は後悔するつもりなんてなかったんだよ。
でも、オマエが目の前に現れるもんだから、嫌でもちらつくんだよ。
傑の姿が。
が僕に対して、怒ったり泣いたり呆れたり笑ったりするたび、傑と重なってしまって。
その瞬間僕はあの頃へと戻ってしまう。
それが嫌で嫌で仕方なかった。のに、同時に楽しくて仕方がなかった。
だからこそ。
後悔してる、んだと思う。






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