第3章 受胎
そう思ったのに。
「はーい、ストップ」
額に刺さるギリギリのところで、五条悟の手によって止められた。
一ミリも動かない。
目を見開いて男を見ると、少しだけ怒っている気がした。
「真希、棘、パンダ。やりすぎだよ」
口調は優しいけど、声色が怖い。
もしかして、怒ってる……?
なんで?
その場にいた全員が身体を強張らせる。
「は高専の監視下に置いてあるから心配しなくても大丈夫。何か問題を起こした時はすぐに処刑にするから、そこも安心していいよ」
「でもよ……」
「真希」
「……わーったよ」
五条悟の言葉に、女はため息を吐いて背中を向けて去っていく。
他の連中も女について行った。
一人、ぶつかった軟弱そうな男だけが深く頭を下げた。
五条悟と私の二人きりになった廊下。
私の術式でぶっ壊れた廊下に目を移す。
あーあ、やっちゃった。
弁償代いくらすんだろ。
金はあるとはいえ、結構な額しそうだな。
そんなことを考えていると、五条悟が私の顎を掴んだ。
唇を尖らせる形になった。