• テキストサイズ

【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第20章 幸福







「君を死なせてしまった事を、今でも後悔している。君を助けられる力が私にあればと……何度思った事か。私に、五条さんや夏油さんのような力があればよかったのにと、何度思った事か……。もう少し、もう少しだけでいいから、君と一緒に仕事をしたかった……。一緒に笑って、もっと一緒に君と同じ時間を過ごしたかった……」

何度も何度も、何十回も何百回も何千回も何万回も、そう自分に言い聞かせた。
あの日、灰原が私にくれた最後の言葉。
どれだけ私を追い込み縛り続けたのか、君は知らないままでいい。
私への罰なのだと、私への信頼なのだと。
私の中だけで受け止める。

灰原が死んで、悲しくて辛くて自分自身の不甲斐なさに絶望して。
君と過ごした思い出ばかりが美しく、君と過ごせなかった未来が虚しく。

ふざけて撮った写真は今でもスマホのアルバムの一番古い場所に保存してある。
ここまで女々しい人間だとは思わなかったが、それほどまでに灰原という存在は私にとっては大きかった。

胸に秘めていた思いが次々に溢れる。
後から後から頬を伝って流れ落ちていく。
後悔ばかりが先立ち、どうにもならないことを思い巡る日々、思い巡る年月。

「泣かないでよ、七海。やっとこうして会えた。後悔も、悲しみも、苦しみも、もうなくなるから」

灰原は、私の両手を胸に抱いた。
灰原の心臓の音が掌に伝わり、温かさもまた。
前へ前へと導くその力強さに、私にはない強さに。
私は今もまた、救われている。




/ 884ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp