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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第20章 幸福







移り行く季節、移り行く年月。
雨の日も風の日も、最強と謳われていた先輩二人にいじられていた日も。
彼はいつだって笑って私の名前を呼んでくれた。
それが、私にとってはどんなにクソみたいな任務が割り当てられても、私を救う一言だったのを君は知らないだろう。

「七海、覚えてる?2年の時の春にさ、五条先輩や夏油先輩、家入先輩と伊地知、みんなでさ高専のグラウンドで花見したよね。桜の花が満開でさ、入学したばかりなのに伊地知は夏油先輩たちにいじられてて涙目で、家入先輩はお酒飲んでその様子をゲラゲラ笑ってて。七海はうんざりした顔をしてた。僕、それがすごい楽しくてすごく、幸せだった」

覚えているに決まっている。
忘れるわけがない。
忘れられるはずがないんだ。

こみあげてくるものを懸命にこらえながら、私は一度だけ頷いた。
一瞬にして蘇るあの日の光景。
ふざけた灰原が桜の枝を折って、私の制服に突っ込んだ事もちゃんとこの胸の中に大切にしまってある。

記憶も気持ちも昔に戻っていく。
夏に沖縄の空港で一日滞在したことも、秋には高専の裏山で栗を拾って栗ご飯を食べたことも、冬には五条さんや夏油さん達と一緒に雪合戦をして怪我人がでたことも、その後夜蛾学長に叱られ、家入さんには怒られながら治療されたことも。
全部全部、覚えている。




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