第20章 幸福
様々な疑問が浮かんでは消えた。
そうしている間にも特級2体はものすごい勢いで、私に近づいてくる。
とにかく、今はこの場をどうにかして切り抜けなくては。
私は鍵を取り出し、地面に差し込む。
「"開錠"!!」
地面が大きく割れる。
せめてもの時間稼ぎ。
微々たるものだとわかっているけど、1秒でも足止めすることができれば、緑に覆われた地だ。
私を一瞬見失うだろう。
案の定、地面が割れたせいで起きる砂ぼこりが目くらましとなり、アイツらは私を見失った。
"種"を破壊するために呪力を使っていたのが仇となった。
そして今さっきの術式。
私が攻撃できるのはあと1回か2回が限度。
クソ……。
軽く舌打をした時、私に近づいてくる気配を感じた。
まさか、もう追い付いてきたのか。
いくらなんでも早すぎだろうが!!
「!!」
しかし私に近づいてきたのは、特級呪霊なんかよりも恐ろしい特級呪術師だった。
「五条……悟」
男の名を呟けば、こめかみに青筋を立てた男がにっこりと笑って私を見下ろした。
冷汗が尋常じゃないほど体中から流れる。
こ、怖い……。
「やっと見つけた。あそこから離れんなって言ったでしょ」
「ご、ごめん……。迷子になってた」
「見りゃわかるよ。で、何してたの?」