第20章 幸福
そんなことを思いながら私は、黙々と"種"を破壊していく。
思ったより数が多い。
これ、本体をどうにかしない限りキリがないんじゃないか。
額に浮かぶ汗を拭い、私は一度あの切り株のあった場所まで戻ろうと踵を返した。
そして不安が胸をよぎる。
「どっから来たっけ……」
ただっぴろい森の中。
道らしい道などあるわけもなく、私は自分が来た道を見失っていた。
やべえ。
早く戻んないと五条悟に殺される。
ていうかもう手遅れかもしれない。
とりあえず、歩こう。
見覚えのある風景を思い出しながらひたすら進もう。
森の中一人。
ひたすら歩き続ける事数十分。
流石にこれだけ歩いて何もないとなれば、私は道を間違えたことになる。
完璧に迷子だ。
このまま一人ってことはないだろうけど、不安と恐怖が押し寄せているのは事実。
その時、私は懸念していたことを思い出した。
ポケットの中にあるスマホの存在を忘れていたのだ。
なんのためのスマホだ。
なぜこの考えが先に過らなかったんだ。
相当テンパっていたと思うと恥ずかしい。