第20章 幸福
どのくらい休憩していただろう。
体感だと10分程度。
五条悟がこの場に戻ってくる気配はない。
戻ってくるまでここで待機するべきなのだろうけど、何もしないという選択肢は私の中になかった。
何のためにここにきたのか、その目的を見失っては行けない。
近場であれば大丈夫だろう。
すぐにここに戻ってくることもできるし。
私は座っていた切り株から腰を上げ、”種”を探しに歩いた。
透明で綺麗なつぼみを付けた透明な"それ"に呪力をぶつけ、粉々に破壊する。
日の光に当たりキラキラと輝く様は、幻想的で魅力的だ。
何も知らない一般人がこれを見たら興味本位で触れるだろう。
だが触れたが最後、"種"は"開花"し人々を幸福へと誘う。
自分で言っといてアレだけど、あんまりピンと来ていない。
"幸福"の本体が"種"ではないのは分かるが、じゃあその本体はどんな姿をしているんだろうか。
【あるっちゃあるしないっちゃない】
って五条悟は言っていたけど、そこはちゃんと伝えてほしかった。
【特級呪霊と言えばそうだし、特級呪物と言えばそうとも言える】
そんなことも言っていたな。
曖昧過ぎるだろ。
これじゃあどうすることもできなくないか。