第20章 幸福
「は僕と一緒に行動。七海は、一人でも大丈夫だね」
「問題ありません」
二手に分かれ、私たちは任務を遂行する。
絶対に五条悟の側を離れないという条件の元、私はここにいる。
七海は一人で任せられるほどの実力があって、五条悟からも信頼されている。
等級が違うし経験も違うから当たり前なのかもしれないが、悔しいと思ってしまった。
「、これがまだ生きている"種"だ。もうすぐ死ぬけど」
ぼうっと考え事している私の名前を呼んで、ある一点を指さす五条悟。
その指の先に咲くのは、透明な花。
どこかヒヤシンスの花にも似ている。
五条悟はそれに呪力をぶつける。
宝石のように砕け散る透明な花は、きらきらと輝いて消えていった。
「生きているうちは触らずに呪力か術式で壊したほうがいい。触れたら、開花しちゃうから」
「わかった」
五条悟と二人でそこらへんに咲いている"種"を祓っていく。
いつ終わるかも分からないこの作業に、だんだん疲れがたまってくる。
それに五条悟と違い、私の呪力は無限ではない。
額に汗を浮かべる私を見た五条悟は、少し休憩しようと提案してきた。
だけど、私はそれを拒む。
「休憩も必要でしょ」
「………っ」
軽く唇を噛む。
こんなところで足を引っ張ってしまうのが嫌だ。
七海ならこんなことで息を切らしたりしないだろうし、呪力が減ることだってないだろう。
結局、私は少し休憩するために大き目な切り株に腰をかける。
「何かあったら必ず連絡すること。大声出すででもなんでもいい。すぐに飛んでいくから」
「…………」
「何をそんなに追い詰めているのか知らないけど、僕はオマエを足手纏いだなんて思った事一度もないよ」
「え……?」
私の心を見透かされているようで、心臓が跳ねた。
「成長途中なんだからうまくいかなくて当然でしょ」
くしゃりと頭を撫でられ、その大きな掌の温もりが気持ちよくて、泣きそうになった。
五条悟はフッと微笑み、近場にある"種"を祓いに背を向け去っていく。
安心感。
それが胸を満たした。