第16章 野球
「4番ピッチャー、禪院真希」
「え、俺がピッチャーじゃないの?」
「お前は捕手だ、虎杖。というのも正直悩んだ。だが、虎杖のボールを誰が捕るかと考えた時、最適な奴が見つからなかった。だからお前は捕手。で、禪院真希が投手。この女の力ならそれなりにいい球を投げてくれるだろう。それに禪院真希が4番なのは、この女がゴリラだからだ。この中で一番飛ばしてくれるだろうし、ホームランも打てるだろ」
「それなら俺だって……」
「うるせえ。後で説明するわ」
虎杖を4番にしても良かったが、それだと下位が苦しくなる。
正直禪院真希と虎杖は同じ力を持っている。
だから先に禪院真希で点を取って、下位でも点を稼ぐには6番に虎杖を持ってくるのが無難だ。
「5番セカンド、狗巻棘」
「しゃけ」
「お前の身体能力を信じてる。守備範囲は広いし適切な状況判断が必要だしで、結構高度な守備技術が求められるけど、私はお前が適任だと思った」
「なんか喋り口調監督っぽくね?」
「熱が入ってるんでしょ。オタクだから」
狗巻棘は意外と図太い神経しているから、プレッシャーなどは感じないでバットを振ってくれるはず。
勝負強さを私はこの男に託した。
「6番キャッチャー、虎杖悠仁」
「なんで俺が6番でキャッチャー?」
「上位は禪院真希で点数を取って、下位はお前で点数を取るためだ。それにお前ならあのゴリラ女のどんな球でも捕れるって信じてる」
「俄然やる気でてきた」
「お前のホームラン、期待してっからな」
虎杖の背中を思い切り叩いた。
思ったより強く叩きすぎて、虎杖は少し目に涙を貯めていたけど、ゲン担ぎだと思ってくれ。