第13章 狂愛
千葉県のある高校にやってきた私達。
入校許可証を首から下げ、校舎の中へと入る。
4階建ての校舎の3階。
一番奥の教室、物置となっているその部屋にそれはあると言う。
案内してくれた教員が、教室の鍵を開ければ、ホコリとカビの匂いが充満し思わずむせ返る。
「これです」
教員は咳込む私たちをよそに、中へと歩を進め木箱を手に戻ってくる。
木箱の蓋を開け、中の掛軸を薄暗い教室の壁にかける。
重力に逆らわずにするすると落ちる掛軸。
その描かれたものを見て、思わず叫びそうになったのを釘崎と伏黒が咄嗟に口を抑えて止めてくれた。
だが、彼等もその顔は青ざめている辺り、私と同じ気持ちなのだろう。
掛軸には、女性の生首が描かれていた。
長い髪の毛を垂らし、瞳はじっとこちらを見つめている。
まるで吸い込まれそうになるその感覚に、私は若干涙目だ。
「……これは、思ったよりえぐいわね」
ごくりと生唾を呑む音が聴こえた。
私はそれどころじゃない。
早く帰りたい。
教員は一つため息を吐くと、この掛軸の事を詳しく教えてくれた。
一度、教室をでて近くの空き部屋へと案内される。
私は既に限界を超えていたため、窓を全開に開けて咳込んでは嘔吐いた。
「……帰りてぇ」
純粋な本音がポロリと零れたが、帰れないことはわかっていた。
関わってしまったのなら、やらなきゃいけない。
想像の5倍きついけど。
伏黒もそんな顔してるし、想定外だったんだな。
よかった、この案件私に回ってこなくて。