第9章 領域
現に今、富士山野郎の火山弾のような攻撃は五条悟へと仕掛けられたが、五条悟はそれを肘で弾いた。
「でも安心して。対処法もいくつかある。今みたいに呪術で受けるか、これはあまりオススメしないけど、領域外に逃げる」
「それって簡単にできるのか?」
「大抵無理」
「意味ねえじゃん」
なんで言ったし。
できる奴がいたのか?
「そして」
「貴様の無限とやらもより濃い領域で中和してしまえば、儂の術も届くのだろう?」
「うん、届くよ」
五条悟の言葉に被さるように富士山野郎がそう言った。
つまりどういうことだ。
ぐるぐると考えている間にも五条悟の授業は続く。
「領域に対する最も有効な手段。こっちも領域を展開する。同時に領域が展開された時、より洗練された術がその場を制するんだ」
あ、今の説明で理解した。
つまり、今の場合だと。
ほぼ完璧ともいえる防御力を持つ五条悟の"無下限呪術"も、領域内においてはその"無限"すら中和され、五条悟本人に攻撃を当てることができる、というわけか。
"領域展開への対処法は自身も領域を展開すること"って言われる所以はこの中和作用に由来しているのか。
理解した。
あの時、私は何も知らずに領域展開をしようとしていたのか。
死に急ぐとはまさにこのことだな。