第9章 領域
五条悟は言った。
私たちが少年院で体験したのは、術式の付与されていない未完成の領域。
ちゃんとした領域なら私たちは全員死んでいた。
「恵とはわかってたんじゃない?」
「………」
私は何も言わなかったけど、まったくもってその通りだ。
だからこそ抜け出したかったのだけれど。
男は続ける。
領域を広げるのは滅茶苦茶呪力を消費するらしいが、利点もあるという。
一つは、環境要因によるステータス上昇。
領域の中はいわば"使用者の心の中"。
使用者は自身の能力をいかんなく発揮できる上に、使用者が最も行動しやすい、簡単に言うとホームグラウンドのような環境と言ったところか。
そのために術式の発動が速く強力になる。
つまりはそう言う事だろう。
そしてもう一つは。
「領域内で発動した付与された術式は、絶対当たる」
領域の中にいるということは"既に術式が当たっている"ことと同等。
術式に基づく攻撃は必ず当たるが、あくまで当たるだけで、呪力によって防ぐことは可能のようだ。