第5章 特級
――夏油side――
「楽しんでるか?」
虎杖と釘崎がポップコーンを買って戻ってくるまでの時間、私と伏黒はベンチに座り休憩していた。
たくさんの音が空間を埋める中、伏黒がスマホを見ながらそう言ってきた。
「楽しんでるよ。久しぶりにはしゃいでる」
「あんま態度に出ないタイプか」
「お前もな」
「まぁ……」
気まずそうに首を掻く伏黒。
その頬は少し赤くなっている気がした。
しばらくすれば二人は戻ってきて、4人で仲良く一つのポップコーンを食べる。
ハチミツの甘い香りが漂ってきて、食べる手は止まらない。
「結構おいしい」
「だろ⁉」
白い歯を見せて笑う虎杖は「おまじないがかけられてるからかもな」と、わけのわからないことを言っていてそれに対して釘崎が「夢を見てるだけよ」と言った。
うん、何が?
ポップコーンを買いに行っている間になんの話をしていたんだ。
詳しく聞こうとは思わなかったけど、ここは夢の国だから魔法にかけられているのかもしれない。
休憩している間に釘崎と虎杖は撮ってくれた写真をグループラインに載せた。
「これ五条先生にも送ってやろうかな」
虎杖は一枚の写真を見てそう言った。
ずぶ濡れマウンテンに乗ったばかりのびしょぬれの写真。
お互いにぐしゃぐしゃで爆笑している。
私もまた、満面の笑みで笑っていた。
「撮ってたのかよ」
「うん、すげーいい顔で笑ってたから」
「確かにこんなに笑ってる夏油は初めてみた」
「もっと笑えばいいのにー」
「うるさいうるさい。次行こう」
「「「照れてる」」」
「照れてねえし!!」
熱くなる顔を見られたくなくて、そそくさと歩き出す。
後ろではくすくす笑う声が聞こえたけど、気にしないふりをした。
友達とこんな風に楽しく遊ぶことがこんなに楽しいだなんて、思わなかった。