第5章 特級
――釘崎野薔薇side――
ずぶ濡れマウンテンを満喫した私たちは次なるアトラクションへと向かう。
今度は、ユニバースマウンテン。
マウンテンと付くアトラクションは全部制覇してやるつもりよ。
待ち時間70分という長蛇の列に並び、私はその間に崩れた髪の毛を直す。
ついでに夏油の髪の毛も直してあげた。
夏油とは、結構早い段階で仲良くなった。
あの回る寿司に行ってからかしら。
この子がどれだけ優しい性格なのかを理解した時から、「好きだわ」ってなった。
好きだわって思ったけど、服のセンスは嫌い。
ものすごくダサい。
あんなの私の田舎でも売ってなかったわ。
どこに売ってんの?
サメから手が生えてて「ニャ―」って鳴いているTシャツ。
どこの田舎のヤンキーだよって思わせるどでかい白黒猫がプリントされたヒョウ柄のワンピース。
ジャッ〇ーがプリントされている真っ黄色のパーカー。
今日着ている服は奇跡なんじゃないかと思えるほど普通の服。
聞けば、夏油の兄がたまにプレゼントとして送ってくれたものらしかった。
ありがとう、夏油兄。
あなたのセンスが妹を救ったわよ。
そんなことを考えながら私は夏油の後ろで拝んだ。
「何してんの?」
「感謝を伝えてんの」
「誰に?」
隣にいた虎杖が不思議そうな顔をしていたけど、こっちの話しだから入ってくんな。