第5章 特級
釘崎から服を貰い、私は部屋着を脱ぐ。
黒のギンガムチェックのトップスとスキニーパンツは、モノトーンカラーで落ち着いた雰囲気がある。
対して釘崎もまた黒のギンガムチェックのトップスにふんわりとしたスカートで合わせてきた。
少しだけギンガムチェックのデザインが違うが、それがまたいい味を出している。
「田舎出身の癖にセンスいいじゃん」
「ったりまえでしょ!!私を誰だと思ってんのよ」
誉められて嬉しいのか、ふふんとご機嫌な釘崎。
その後のメイクもなぜか釘崎がしてくれた。
どうやら一回でいいから誰かにメイクをしたかったらしい。
最初は拒んだけど、釘崎の熱に押されてしまった。
私って流されやすい性格をしてるなぁ……。
「目閉じて」
釘崎の指示に従って、私はゆっくりと目を閉じる。
真剣な表情の釘崎。
相当メイクやファッションが好きなんだなと、これだけでわかる。
「でーきたっ」
釘崎の言葉に私は鏡を手にして自分の顔を見る。
自分がやるよりも丁寧なメイク仕様に、感嘆の声が漏れた。
「うまいね」
「でしょでしょ。すごい勉強したんだもん」
「なんでそっちの道に行こうと思わなかったの」
「……私が私であるためには、こっちかなって」
「ふーん」
釘崎なら、スタイリストとかそう言う道も似合いそうだけど。
それは私じゃなくて本人が決めることだしな。
結局私は服もメイクも髪の毛も釘崎に全部セットしてもらった。