第5章 特級
次の日の朝。
セットした目覚ましの音で目を覚ます。
眠い目をこすりながらベッドから起き上がり、出かける準備をする。
なぜ私は昨日夢の国に行きたいなどと言ったのか。
後悔ばかりが募る。
顔を洗って歯を磨いていると部屋のドアが控えめにノックされた。
扉を開けるとそこには釘崎がいて、その手にはメイク道具と大量の服が入った籠が握られていた。
不審な目で見ていると、すごいかわいらしい笑顔を見せて。
「双子コーデしない?」
そう言ってきた。
双子コーデとはあれか。
似たような服を着よう的なあれか。
「なんで?」
「夢の国を1億倍楽しみたいからに決まってるからじゃない」
「そんなことしなくても1億倍楽しめるだろ」
「いいからいいから。ノリが悪いわね」
問答無用で部屋に入ってきて、勝手に人のタンスやクローゼットを開ける。
私の周りには常識人がいないのか。
何を言っても無駄なんだろうなと半ば諦めて、釘崎の選ぶ服を着る事にした。
「ショーパンとかスカート少なくない?」
「好きじゃない」
「ふーん。まぁ、いいや。これとこれとこれを着てもらって、私はこれを着ればいっか」
「決まった?頂戴」