第5章 特級
「……お前ってさ」
「うん?」
「意外と弱いな」
「僕は最強だよ」
「そうだな」
五条悟の腕をするりと抜けて、私は風呂場へと向かう。
その後ろを男もついてきた。
一緒に風呂に入ると抜かす男を振り払おうにも振り払う事が出来ず、無理やり一緒に入る事となった。
そして抱かれた。
風呂場に反響する自分の声と五条悟の息遣いで、あっけなく絶頂を迎え、男もまた私の口の中で爆ぜた。
「飲んで、全部」
私の髪の毛に手を滑らせたかと思えば指の腹で喉に触れる。
少しずつゆっくりと、男の吐き出した熱情を飲み込めば、満足したように笑う。
本当にバカみたいだ。
こうすることでしか、空っぽの心を満たせないなどと。
この行為に意味などない事もわかっている。
ただ男の熱情と私の虚無をお互いに慰めあって。
苦しい、悲しい、辛い、嫌い。
喉にへばりつく白濁の液が、重たく私の腹を満たす。