• テキストサイズ

【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第3章 受胎






「夏油の腹の中にいる呪いは、病気や望まない妊娠などで死んだ赤ん坊の集合体、そしてそいつらを愛せずに死なせてしまった母親たちの負の感情が集まってできている。ここまで言えばわかるだろう」
「つまり、腹の子と母体である母親を愛してやれば大人しく出てくるってことだな」
「まぁ、そう言う事だ。夏油もそのうち愛されたいという願望が出てくると思うから、ちゃんと受け止めてやれ」
「その愛されたいはの本心?」
「いや、腹の子の感情を代弁してるに過ぎない。だけど、気持ちはあるからあいつ自身は揺れ動くと思う。そう言う意味でも演技でいいから愛してやれって言ってるんだ」
「オッケー。そう言う事ね。楽勝だ」

そう言って五条はひらひらと手を振って今度こそ夏油の元へと向かった。

別に愛情なんてなくても体液さえあれば腹の子はすぐに出てくる。
だけど私は「愛してやれ」と言った。
それは夏油の事を思ってのこと。
精神状態がぐらついている上に殺したい相手に抱かれるなんてたまったものじゃないだろう。
せめてそこに何かしらの情があれば、少しは救われると思った。
だから五条に演技でもいいから愛してやれと、腹の子ではなく夏油の為に。
どっちに転ぶかは知らないが、いい方向に転んでほしいものだ。
夏油にとっても、五条にとっても。

今日は大量に酒が飲みたい。
伊地知か七海でも誘って飲みに行こうか。
そんなことを思いながら、私は机に置かれたエコー写真をゴミ箱に捨てた。



/ 884ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp