第3章 受胎
「大丈夫でしょ。説得すればは渋々納得すると思うし」
「それはそうかもしれないけど」
「それにさ、僕ちょっとムカついてるかも」
「は?」
「だってそうじゃない?」
長い足を組んで、五条はさも当たり前かのように言った。
「僕を殺してもいないのに、勝手に死ぬとか許されないでしょ。死ぬなら僕を殺してからにしてほしいよね」
「…………」
「それに知らない呪いなんかを孕んじゃってさ。優しい奴だとは思ってたけど、ここまでくると聖母を通り越して化け物だよ。腹パンでもすれば中の呪い死ぬんじゃない?」
「それはやめろ。夏油のことも考えてやれ」
「だからめちゃくちゃ考えて、この結論」
「………………はぁ」
これ以上ないくらいの深いため息が零れた。
コイツのこういうところ本当に理解ができないし理解しようとも思わない。
夏油、オマエは厄介な人間に目をつけられたな。
不幸中の幸いなのは、五条が自分の気持ちに何も気づいていないというところか。
気を付けろよ、夏油。
コイツが自分の気持ちに気づいた瞬間、オマエはもうどこにも逃げられないよ。
「誰が夏油の相手役をやっても私はどうでもいいんだけど」
「よくない。相手は僕がやる。これ決定事項」
「はいはい。じゃあ、お前に任せるよ」