第3章 受胎
――家入硝子side――
夏油が部屋を出てすぐに五条が入ってきた。
何も言わずに椅子に座る五条に私は診察結果を報告する。
「妊娠してたよ、呪霊の子をね」
「……だと思った」
深いため息と共に頭を掻く五条。
こいつのことだ。
薄々気づいていたのだろう。
「解呪の仕方は?」
「言わなくてもわかってんじゃないのか」
「まぁ、なんとなくは」
「察しの通りだよ。呪力の高い奴の体液を取り込む、これが解呪の条件。じゃないとアイツは腹の呪いに呪力を吸われ、出産とともに死ぬだろうね」
そう言って私は先ほど撮ったエコー写真を五条に見せる。
それを手に取り、まじまじと見たあとぽいと机の上に置いた。
「その役、僕が買うよ」
「言うと思った」
「他の生徒には任せられないし、何より、嫌がるでしょ」
「誰であろうと嫌がると思うけどな」
特に五条は一番に嫌がられる存在だろうに。
乙骨に頼むという選択肢もあるが、先日の怪我のこともある。
消去法で考えれば五条なんだろうけど……。
ただ、こいつに頼むのは気が引けて仕方がない。