第3章 受胎
腹の中の呪霊は異形ではあったが、こいつは今私の腹で息をして命を宿している。
生きようとしている。
そう思うと、人間ではないとわかっていても、そう言うものだって思ってしまう。
冷たくて悲しい音色が、響きが、頭に鳴って、鼻の奥がツンとする。
死にたくはない。
だけど、誰かと性交なんて御免だ。
二年の奴らは論外。
ウニ頭も論外。
五条悟もまた論外。
適任が一人もいやしねえ。
だからと言って知らねえ男に抱かれるのも嫌だ。
「今すぐに運命の男が現れてくれたらいいのに……」
「結構ロマンチックなこと考えるんだね、」
「うおわっ!!」
自分以外の声に私は飛び起きた。
部屋の入り口に、五条悟が立っていてまたこいつは勝手に部屋に入り込んできやがった。
「硝子から話は聞いたよ」
「……で。へました私を叱りに来たのか」
「何で叱るの?こうなった事は想定外だけど、の優しさでしょ、それは。でも、同情しすぎるとこうなるよって事。いい勉強になったね」
「結局叱ってんじゃん」
「違うよ。叱る事と説教は似て非なるものだよ」
「あっそ」
私はボスンとベッドに寝転んだ。
これを言うためだけにこの部屋に来たとは思えない。
まだなにか私に言うことがあるはずだ、こいつはそういう男だ。
「」
「断る」
五条悟が何か言う前に私はその言葉を遮った。
「まだ何も言ってないと」あからさまにしょんぼりする男に、私は一度だけ視線を送る。