第3章 受胎
「もう一つ言うことがあるんだが」
「なんだよ」
「お前盛大に吐いただろ。それは、その呪霊がお前の腹の中に宿ったという副作用みたいなものだ」
「つわりだろ、簡単に言えば」
「まあな。で、ここから問題だ。お前、出産日までこいつを待つつもりか」
「……いや、今そう言う話してただろ」
家入硝子の言ってる意味がわからない。
呪霊は通常の妊娠とは違うらしく、一ヶ月から二ヶ月そこらで産まれて来ると言う。
その間、栄養分となるのは母体となる人間の呪力。
「少しずつお前の呪力は吸われていく。どういうことかわかるか」
「死ぬじゃん」
「そうだ。だから呪力を取り込む必要がある」
「呪力を取り込む?どうやって?」
「いわゆる性交だよ。呪力の高い奴の体液を取り込めば、それを栄養剤に育つ」
「…………何言ってんだ」
「その方法だと、数週間で呪霊は出てくるだろうな」
「ちょ、ちょっと待てよ。性交?体液?意味わかんねえ。できるわけねえだろ。他に方法ないのかよ」
「ない」
きっぱりと言われ、私は力を失くした。
なんでこんなに目に遭わなきゃいけねえんだ。
まじで生き地獄。
どういう試練を与えてんだ、恨むぞ神様。
「……考えさせてほしい。今すぐに結論は、出せない」
「だろうな。このこと五条には……」
「好きにしろよ。私に決定権なんてほぼないんだから」
そう言って、私は医務室を出た。
その時ちょうど五条悟と会ったが私は何も言わずに男の横を通り過ぎた。
部屋に戻り、私はベッドに沈む。