第3章 受胎
「ちなみに、こうなった心当たりはあるか」
その言葉に私は極力取り乱さないように、今日の任務の事を話した。
心当たりなんてこれしかない。
震える声を何とか抑えながら、なんとか全部自分の言葉で話切った。
家入硝子は、少し考えた後にゆっくりと口を開く。
「同情、したのか」
「してない……とは言えない……」
「流石のお前も今回ばかりは素直だな。この呪霊は、お前の同情心に付け込んで、腹を借りたんだろう。夏油なら産んでくれると思ったんだよ」
深くうなだれた。
腹に視線をやれば、ぐるりとそいつは蠢く。
気持ち悪い。
孕むだとか産むだとか。
別に私はお前を孕みたかったんじゃないっつうの。
図々しいにもほどがあるぞ。
……でも、生まれてきたかったんだよな。
こんな形になってまで生にしがみつきたいのか。
地獄だぞ、ここは。
「……産むしか、ねえじゃん」
目に溜まる涙を指で拭う。
それを見ていた家入硝子はティッシュをくれた。