第3章 受胎
瞬間。
何かが、腹の奥から何かがこみあげてきた。
反射的に口を開けば、私の口からは今朝食べた咀嚼物や胃液が勢いよく飛び出る。
べちゃべちゃと机と床を汚し、嘔吐物独特の酸っぱい匂いが教室に漂う。
みっともない所を見られた。
口を押え、これ以上嘔吐しないように息を止めるが私の腹はまるでポンプのようにそれを促す。
我慢できずにまた口から溢れ手の隙間からボダボダと零れる。
口も服も何もかも汚し、目からは生理的な涙がいくつもこぼれた。
「!!」
床に座り込み未だに吐き続ける私の体を支える五条悟。
「さ、わんな……っ。汚れるだろ……」
「そんなこと言ってる場合?硝子の所行くよ」
「や、だ……。絶対、や……う"え"っ!!」
「とりあえずここで全部出しちゃえ。大丈夫、僕がいるから」
何も心配することがないと私に何度も言って、五条悟は優しく背中をさする。
その手の温かさが、五条悟のこういう優しさが、今の私には泣きたくなるほど嬉しくて、悔しかった。