第17章 独占欲
「……はっ、はぁ……は……」
───もう嫌。
息も切れて、涙も止まらなくて……
せっかくアレンジした髪だって……乱れて。
ふたりでお揃いの“お守り”だったのに───。
「っ……も、さいあく……ううっ……」
「どう、したんですか?何かあったんですか?」
また、蝶野くんを困らせてる。
“辛いよ、助けて。”
そう言えたら、どんなに楽か。
「……もしかして蜂楽と、何かあったんですか?」
やっぱり蝶野くんには、もうバレちゃってるか。
私が涙を流す理由なんて“蜂楽廻”以外に無いこと。
「ちょう、のっ、く…ぁたしっ…どうした、らっ…」
「落ち着いて、ください。」
落ち着きたくても、落ち着けないよ。
「ばち、らがぁっ…ばちら…ひっ、うぅ…」
「だから、落ち着いてくださいよ。先輩らしく、ないです。」
───ごめんね、いつもごめんね。
こんな私のこと……好きだったんだもんね。
“先輩、強くなりましたよね。蜂楽みたいに。”
サッカー部の試合の日に蝶野くん、言ってくれたよね。
蜂楽と同じフィールドに立てたような気がして、嬉しかった。
でも、やっぱり私まだ……弱いままみたいだよ。
自分からあなたのこと突き放しておいて……
酷い態度取って、蜂楽と付き合ってるってウソ通したくせに。
今あなたがここにいて安心した、なんて……
卑怯すぎて……情けなさすぎて……
誰にも言えないもん───。