第17章 独占欲
「落ち着いてください……でないと、
僕は蜜浦先輩に対して、気持ちが抑えられない。」
そう、だよね。
困るよね。
バカな先輩で……ごめんね───。
「これ以上アイツに、振り回されないでください。
アイツに……困らないでください……。」
泣きじゃくって何も言えない私の唇を
蝶野くんは、静かに奪った。
生徒会室の引き戸が、また勢いよく開いた。
「夢ちゃんっ!!」
入口に立つ、蜂楽の顔は……
あえて見ないことにした。
「……夢、ちゃん……?」
急なキスに驚いて、体が動かなかった……
だけじゃ、ない。
ほんの一瞬の、蜂楽への裏切り。
不思議と蜂楽に対する“独占欲”は……
まだ私の中で、どす黒く燻っているのに。
───このとき私は、何を感じたんだろう?
蝶野くんに合わせて、そっと眼を閉じて
彼からのキスを……受け入れた。