第17章 独占欲
生徒会の腕章を付けて、校内を目的なく歩く。
見回りなんて先生達の仕事なのに。
仮にそういう場面に出くわしたところで、結局先生に報告するのだから。
この時間が無ければ、蜂楽と一緒にいられるのに。
「蜜浦、そろそろお昼休憩入っていいよ。もう俺と交代の時間だから。」
「ありがとう。じゃあ、お願い。」
見回り交代の生徒会メンバーから声が掛かり、
ひとまずトラブルに巻き込まれなかったことに安堵する。
「(あ、蜂楽に連絡。“いま休憩入る。生徒会室で待ってるよ。”と。)」
歩きながら蜂楽のスマホにメッセージを送って。
クラス当番のキリがいいところで会いに来てくれるかな、なんて、勝手に考えて気分が明るくなる。
足取り軽く、生徒会室へ向かっていた。
「(あれ。あの後ろ姿…)」
捲り上げられたズボンの裾。
ハイトーンがチラ見えする外ハネ。
今朝、私がした……ヘアアレンジ。
その後ろ姿に近付いていくにつれ、細かいところが見えてくる。
「(蜂楽だ…!)」
確信して、声を掛けようとした。
その刹那───。
「……めぐ」
物陰にいた、見覚えのある女子と
唇を、重ね合わせていた。