第17章 独占欲
「夢ちゃんおはよ!お、髪かわいー♪」
大勢の人前に立つからって、こんな日ばかり気合いを入れた巻き髪とヘアアレンジ。
蜂楽にそう言われると安心するし、とても嬉しい。
「俺もしてくれ!夢ちゃんとおんなじの♪」
「どうだろ…廻の長さで同じのか…。あ、ココのねじねじだけなら同じにできそう。」
「ねじねじやって♪俺も可愛くしたい!」
「ふふっ、いいよ。パパッとやってあげる!」
「アガるアガるぅ♪リンクアレンジ!」
相変わらず、男子なのにうるツヤで綺麗な髪。
サイドの部分をねじってピンで留めてあげると、
インナーカラーが際立って可愛い。
迎えに来てくれた玄関先、朝日が射し込むなか。
ヘアアレンジのお代に、キスをくれた。
「今日は楽しもうね♪」
その笑顔と口付けで……私は頑張れる。
───ううん、違う。
“頑張る”じゃなくて……“楽しもう”。
高校最後の文化祭。
私と蜂楽にとって、一緒の文化祭は最初で最後。
生徒会もある。
学年も違う蜂楽とは、ずっと一緒にいられるわけじゃない。
でも、楽しい文化祭になるかどうかは……
私次第。
ミサンガだけじゃない。
今日はお揃いのヘアアレンジだって“お守り”だ。
「自由時間できたらすぐ連絡する!」
「あいよ、承知ぃ!一緒にまわろぜ♪」
このふたつの“お守り”に祈った。
私と蜂楽の文化祭が、楽しくなりますように───。