第17章 独占欲
波風高校の文化祭は、各クラスの模擬店と文化部の展示、演劇の舞台、軽音やダンスのパフォーマンス。
と、まぁ一般的なものだ。
去年との違いは、生徒会長になった私は後夜祭で締めの挨拶をしなければならない、ということ。
生徒会長としての務めで、文化祭は一番重い仕事。
正直これ以上、人前に立つのは億劫だ。
「夢ちゃんのクラスって3Aだっけ?模擬店いくね♪なにやんの?」
「タピオカだよ。でも生徒会は校内見回りの仕事があるの。大半は本部にも詰めてなきゃいけないし。
クラスの当番はそのへん考慮してもらってるから、いない時も多いけどね。」
「へぇ、大変なんだぁ。つか見回りって?」
「要はパトロールだね。外部からたくさん人いれるから、中には変な人もいるでしょ?ナンパとか、ケンカとか…飲酒喫煙。」
「危ないから俺も夢ちゃんとお巡りさんする。」
「ありがとね。でも行事の時はクラス優先だよ。解った?」
「……あーい。ホントにホントに気を付けてね?
あ、俺のトコはフローズンフルーツなんだけどさ!夢ちゃんの好きなイチゴもあるから、持ってってあげる♪」
お互いに生徒会の仕事、クラスの準備分担をこなし、忙しい二週間を送った。
それでも毎日の登下校は、必ず一緒にいてくれた。
両親に送ったメッセージは、既読スルー状態が続いていた。
やっぱり蜂楽と一緒だと、尾行の気配は感じなくて。
忙しさから、そのことはなおざりになっていた。
文化祭前日の帰り道、生徒会の集合時間が早い私に
「明日何時?起きるの頑張るから、一緒に行く♪」
と聞いてくれた蜂楽に、感謝のキスをした。