【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
「沙良ちゃん…体の事で…辛い思いしたの?」
もう一度抱きしめる。
『………はい。』
簡単な事は言いたくない。
大変だったね…は、何か違う。
辛かったね…も、どこか他人事だ。
「俺にできることあったら…何でも言って。
前も言ったけど…俺は何があっても沙良ちゃんの味方だからさ…」
軽く口づけると、沙良ちゃんは静かに頷いた。
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「遠藤さんすみません…
自分の家のお店の事もあるのに、こんな時間までうちの手伝いさせてしまって…」
「いやぁ、いいよいいよ。十亀君も感心だな。
おじいさんだけじゃ大変だろうから、どんどん沙良の事手伝わせてよ。沙良が外の世界を知るのは、俺も嬉しいから…」
「はい……じゃあ俺、帰りますね。
沙良ちゃん、おやすみ。」
『おやすみなさい…』
俺はニコリとして店を出ると、今日の事を思い返した。
情報過多な1日だったな…
まさか今日の今日、沙良ちゃんとそういう事になるなんて思ってなかった。
沙良ちゃんの好きな奴を知り、沙良ちゃんを好きな奴もわかった。
けど…
感覚でわかる。
この先沙良ちゃんと一緒にいる確立が高いのは梅宮より梶だ。
snakesがどうとか言っていたが、それが解決すれば梶は十中八九沙良ちゃんを傍に置こうとするだろう。何となくだが…アイツはそういう奴な気がする。
そして…沙良ちゃんの腕の痣…
快人の名刺はそういう事だったのか。
色んな事が線で繋がる。
「ふっ…あとはアイツだな。」
梅宮と梶の話は本当に今日知った。
けど俺は日々沙良ちゃんをポトスに送迎する中で、沙良ちゃんを特別な目で見る奴がいるのに気づいていた。
何も興味のないフリをしながら、常に意識して沙良ちゃんの周りを張り、俺の対応を気にする頭脳派。
わかってるよ…
「蘇枋…アイツはなかなか食えないよねぇ…」