【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
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side 沙良
お風呂から上がり、自分の部屋で髪を乾かしながら、ぼーっと考える。
条君には、蓬莱さんの問題を解決してもらってから、恩のようなものを感じていた。
毎日送迎をしてくれたり、そのままお店を手伝ってくれたり…
その恩を、何かの形で返したいとは常々思っていた。
一度したならもう同じ…
そんな気持ちがあの言葉につながり、条君と関係を持った。
"沙良ちゃんの事、大事に思ってる…"
大事…その言葉を言われて嫌な女の子なんて、いないと思った。
好きとは違うのかな…
大事って、好きよりもっと深い愛情だと思っていた。
けどそんなの…考えすぎだよね…
自惚れだ。
条君がそんな気持ちで私を見るわけがない。
勘違いも甚だしい…
『…っ……あつっ…』
ドライヤーを動かさなかった為、熱風で頭皮が熱くなった。
条君と体を重ねた事…
思い出しても体が疼いてしまう。
逞しくて分厚いカラダ。
絡め取られるようなキス。
優しく触れる指先。
女の子の体を知り尽くしたような愛撫。
そして…
『…っ……』
下半身が疼いて恥ずかしくなる。
大きくて長いモノが出たり入ったりする水音、呼吸ができなくなるような圧迫感、擦れる感覚を思い出し、体が熱くなってきた…
梶君の時も条君の時も感じたこと。
二人は妖艶な眼差しで腰を振り、時折切なげに、それでも快感に身を任せ、体を打ち付けていた。
もしかしたら馬鹿な考えなのかもしれないけれど…
体があれば、疎まれずに済むんじゃないかな…
嫌われずに済むんじゃないか…
必要と…してもらえるんじゃないのかな…?
そんな考えがよぎり、ぶんぶんと首を振る。
『…っ…何考えてるんだろう…』
明日から十亀さんの事は条君と呼ぶのだろうか。
いや、梅君の前でそれはしたくない…
ピロン
こんな時間に誰だろう…
スマホをタップすると
『…梅君……』
"こんばんは。沙良、明日は頼むな。
高校に16時集合で。"
明日は蓬莱さんの事を、風鈴の幹部の方に伝える事になっていた。もうアメリカに渡ったのか、蓬莱さんは当然、私の前に現れてはいない。
営業時間中のポトスを貸し切ることもできず、場所は風鈴高校になっていた。