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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第6章 ※恋愛のカタチ



ポトスに行けて、皆に会えた。

それは紛れもなく、色々な事を解決してくれた十亀さんのお陰だった。


ありがたいと感謝しながら私は今日、16歳になった。






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side 十亀

「足元、気をつけてねぇ…」

カンカンと音をさせ、階段を上る沙良ちゃん。

『あっ…はい。』

足元を見ながら錆びた手すりに掴まり、慎重に足を進める。
時折あくびをする為に、口元を隠しているのが気になった。

「沙良ちゃん…
寝れてないの?大丈夫?」

「…っごめんなさい、明後日試験があって…
寝るのが遅くなってしまって…」

サボっていて全然勉強やれてなくて…と笑う沙良ちゃんの言葉に足を止める。

『わっ…ぷ……』

俺の腰辺りに頭をぶつけ、驚いたような顔をしている。

「自己犠牲ってさ…端から見ると痛々しいもんだよ。
アイツらの勉強なんて身につかなくて当たり前なんだから、本気でやる事ないよ。
自分の事優先させなきゃダメでしょ…」

結構本気で言ったのがわかったのか、目を見開き、焦ったように笑ってごまかす。

『違うんです、自分の要領の問題で…
風鈴の方達がどうとかは関係なくて…』

まぁ…沙良ちゃんはそう言うよね。

「…ならいいけど。ちゃんと寝て、体壊さないでね。」

『…はい。』


今日は俺の勉強見てよ、とじいちゃんちに沙良ちゃんを呼んだ。
部屋は2階にあり、外階段を上って部屋に向かっている所だ。

いつも風鈴の連中を一度に見ている沙良ちゃん。
何度か送迎し、風鈴の奴らがどんな目で、どんな思いで沙良ちゃんを見ているのかよくわかった。

本人に全く自覚がないのが笑っちゃうけれど…

そんな、"皆の沙良ちゃん"を独占できる権利を持った自分。
約束はしておくものだと思った。


「そこに靴脱いで、上がって。
あまり綺麗じゃないけど…」

部屋の中に女の子を入れるのは初めてじゃない。
遊び人てほどじゃないけれど、健全な高3男子と言えるくらいには経験もある。

『うわぁ……凄いですね。
元々、他の方が使ってらしたんですか?』
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