【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
「沙良ちゃん、ホントに久しぶりだね。会えなくなって…皆さん元気なかったんだよ。特に梅宮さんは…自分を責めていたように感じた…」
『…そうだったんだ。』
梅くんからは、時々メッセージがきていた。
その度に元気だ、早くポトスに顔を出したい、と送っていた。
だから…本当は今日、梅くんに会えるのではないかと、少し期待した自分がいた。
「沙良ちゃん…
少し話は変わるけど…」
口を開いたのは蘇枋君。
蘇枋君は初めて会った日に、さきの町にいたのではないか、と聞かれた。私の事…知っているのかな…
記憶力は悪くはないと思う。
蘇枋君の顔を忘れるだろうか…?
『うん…どうしたの?蘇枋君。』
「梶さんと、何かあったの?」
『…っ……』
真顔の蘇枋君。何で…
『何か…って……?』
「蘇枋さん?何でいきなり梶さんなんですか?」
「どうしたんだよ蘇枋。」
蘇枋君は私の態度を見て黙って前を向いた。
「いやー、別に。何でもないんだよ。
ちょっと聞いてみたかっただけで、深い意味は全然ないんだ。」
ニコニコと明るく対応する蘇枋君。
知ってる…?いや、考えすぎ…?
わからない…
「お前…十亀に連絡しなくていいのかよ…」
『あっ…そうだよね。桜君、ありがとう。』
スマホを出して十亀さんにメッセージを送る。
あっという間に家に着くと、お父さんが驚いて言った。
「あれ?もう帰りか?さっき行ったばかりだったのに…休みだったのか?」
『ただいま。ちょっと色々あって…
3人が送ってくれたから大丈夫だよ。』
お父さんは3人を見つめた。
「あぁ…ありがとね、皆。ゆっくり話すのは久しぶりだね。その節はごめんね…俺凄い過保護だからさ…」
「そんな…当たり前ですよ。娘さんがあんな目に遭ったら…解決した、って言っていいのかわからないですが、また沙良ちゃんがポトスに来られるようになって本当、良かったです。」
楡井くんが笑顔でそう言ってくれた。
「楡…ありがとな。蘇枋も桜も。これ、持っていってくれ。」
お父さんは3人に、宇和島みかんのジュースの缶を1本ずつ渡した。
『あっ……』
冷蔵庫に行きかけた時…
「どうした?何だ。」
『あ…ううん。大丈夫…』