【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
「え……えっ…?えーーーーーーー!!」
急に大きな声を出す椿さん。
「ちょっ… 沙良、あんた今日誕生日なの!?」
椿さんの興奮はピークに達し、物凄く大きな声が響いた。
『あ…はい。誕生日…です。』
自分から誕生日だというのも図々しくて、言おうとは思っていなかった。
「もーう、言ってよぉ……
ことは、ケーキ…はないわよね、ポトスには…」
「うちはケーキはやってないのよね、それにこの時間からケーキ屋さんにホールとかあるかしら…
あ、でも小さいケーキをいくつか買うとか…」
『だっ…大丈夫、ことはちゃん…椿さんも。
気を遣わせてしまってごめんなさい。
あの私…もうプレゼントは十分もらいました。』
「え……?」
『久しぶりに皆さんに会えて…
ホントに嬉しくて。やっぱり私、皆さんと過ごす時間が大好きなんだって思いました…それが私にとって、今日は何よりのプレゼントだったから…十分です。』
「沙良ちゃん…」
「〜〜〜………ちょっとちょっと…ちょっと〜……」
椿さんは下を向くと、今度は静かに、ゆっくりと言葉を発した。これはくるぞ、と皆身構える。
「いい話だけど納得いかない!
よし!今度の土曜日はポトスで沙良の誕生日会するよ!皆、食べ物、飲み物、ケーキ、飾り付け、出し物、それぞれ衆ごと準備すること。ここにいるメンバーで幹部、級長に連絡して。いいわね?」
案の定、先ほどの声量で椿さんが叫んだ。
「ちょっ…どれくらいの規模でやるの?全員はポトスに入らないわよ?」
「それもそうね…じゃあ…
ていうか沙良の前で打ち合わせできないわね。沙良、今日はもうお開き。お疲れ様。」
『えっ…お開きって…
まだ十亀さんとの約束まで1時間はあるのに…』
あれよあれよと話が進んでいき、オロオロしてしまう。
「そもそも…何で十亀とポトスに来たの?聞いてなかったわ。付き合ってるの?」
『いえ、まさか…ちょっと色々あって…前のラートルとの事件の事を何とかしてくれたのが十亀さんで…
けどまだ…父が心配しているので、しばらくは送迎してもらいながら様子をみようという事になっています…」
「そうだったのね…沙良、風鈴にも関係する大事な話だから、その話はまた幹部で集まって改めて聞かせてもらってもいいかしら?」