【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
梶の拳にギュッと力が入ったのを見逃さなかった。
なるほどね。
「…snakesってチーム…知ってるか?」
「snakes?名前だけは…知ってるけど会った事はないねぇ。何で?そのチームがどうしたの?」
「知らねぇならいい…」
悪かったな、と店に入ろうとした梶に向かって言った。
「梶… 沙良ちゃんが好きなの?」
「…アンタに言う必要ねぇよ。」
ふっ…好きって言ってるようなもんだ。
「そっかぁ…じゃあ俺が貰っちゃってもいいよね?」
「…っ……」
「心配しなくていいよ。沙良ちゃんは俺が責任を持って守るから。だから貰っていいよね?」
さぁて…梶は何て言うかな?
「アイツは物じゃねぇ…貰うとかあげるとか、そういうんじゃねぇだろ。それに…それはアイツが決める事だから…」
「………」
青いねぇ。
大事なら何としてでも傍に置いて、守らなきゃいけないんだよ、梶…
店の中に入ると、早速沙良ちゃんは勉強会を再開していた。
「ふふっ、本当に勉強教えてるんだねぇ。
何を教えてるの?」
『そうですね…大体、小学校4年生くらいまでの漢字が読み書きできると、安心して生活できると言われていますので、そこまでを皆さん、それぞれのペースで頑張って下さっています。
あと算数は掛け算、わり算、割合なんかがわかると買い物にも役立つので、その辺りを中心に。
皆さん凄く真剣なので、私も一緒にやっていて楽しくなります。』
ニッコリ笑う 沙良ちゃん。
その笑顔を見て、俺も口角が上がる。
「…何時くらいに迎えに来たらいい?その時間にまた来るね。」
『あ…はい。ありがとうございます。』
俺は時計を見て、また来るねと約束し、店を出た。
side 沙良
久しぶりなのに、皆集中していて嬉しい。
「あら?これ、誰の学生証?風鈴のじゃないわね。 沙良の?」
『え……あ、私のです。すみません。』
いつの間に落ちたのだろう。椿さんが気づいてくれて良かった。
「ふふっ、写真見ーちゃおっ♡あら…嫌ね、本当。
普通に可愛いんだから。変だったらからかってやろうと思ったのに。」
『真顔だから恥ずかしいです……』
椿さんは真剣に学生証を見つめる。