【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
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「沙良ちゃん、スッキリした顔してるね。何かあった?」
『え…やっとテストが終わって…ホッとしたのかな…』
本当は気になることが色々あるけれど、とりあえず学校のテストは一区切りついた。
「テストなんざ適当にやりゃいいだろうが…」
ポケットに手を突っ込み、呆れたように言う桜君。
その表情はムスっとしている。私の道案内を頼まれたからだろうか…
『桜君…ごめんね。道案内…してくれてありがとう。』
「別に…お前が謝る事じゃねぇだろ…」
赤らんだ顔で目を逸らす。
「桜さん、言い方。それだと沙良ちゃんが気にしちゃいますよ。スマイル、スマイル。」
楡君が両手人さし指を頬につけて、可愛らしく言った。
「沙良ちゃん、気にしないでね。
俺達はどうせ暇だから。それに人助けも、防風鈴の活動の一部なんだよ。」
蘇枋君がにっこりとして言ってくれた。
『ありがとう。』
ケイセイ街は色んなお店のビルが立ち並んでいる。
人通りが激しく、夕方のこの時間は街が活気付く時間帯のようだ。
ふと、スーツを着た人達がイヤホンをしながら通行人を気にしてウロウロとしているのが目に入った。
『誰か…VIPでも来るのかな…?』
「ふふっ、違うんだよ沙良ちゃん。
あの人達は六方一座って言って、この街の治安を守ってるんだ。すごくカッコいい人達で、俺達も憧れてるんだよ。
ね、桜さん。蘇枋さん。」
「そうだね。」
「……まぁな…」
桜君は照れながらも、六方一座の事を認めているようだった。
きっと凄い人達なんだ…
「さ、着いたよ。」
ここだよ、と案内されたビルの中の1つの扉をそっと開けると…
薄暗く、眩しいライトがいくつもついた天井。
客席とみられるテーブルと椅子。
ステージに…棒…?
「沙良ー、来てくれたのね。嬉しいわ。あんた達もご苦労様。お礼にステージ見てって。フードもつけちゃう。楽しんでってよ。」
私の肩をそっと抱く椿さん。
その瞬間、服装に釘付けになった。フォーマルとは違うけれどカチッとして黒を基調とし、露出度も高い。
『ステージって…椿さん、何かやるの…?』
「ふふっ…沙良ちゃん、椿さんは凄い人なんだよ。あのポールを…」