【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
『うん、中学の時はあまり外に遊びに出なかったから…カラオケもボーリングも、クレーンゲームを間近で見るのも初めてだったよ。すごく楽しいんだね。』
興奮して蒸気した頬に、そっと触れた。
『条君…?』
「……楽しかったなら良かったよ。
今の沙良ちゃん、いい顔してる。」
こんなに生き生きとした可愛らしい顔は
俺だけに見せてね…
頬から頭に手を移した。
「帰ろっか…」
遊び疲れたのか勉強しすぎの寝不足か、バスの中でうとうとする沙良ちゃん。時折、俺の肩に頭をぶつけては、ハッとし、またうとうととする。
「ふふっ…子供みたい…」
『っ…ごめんなさい…』
「気にしないで?遠慮しないで寄りかかってよ…」
『でも……』
「いいから。」
沙良ちゃんははじめこそ遠慮していたが、俺が気にするなと言ったからか徐々に肩にもたれかかり、完全に眠ってしまった。
長い睫毛と半開きの口元を見ていると、悪い気が起きそうになる。少し前に座る男2人がこちらを見ては、耳打ちし合ってる。
可愛いでしょ…
お前等には渡さないからね。
頭に触れるとそのまま口付けた。
瞬間
どこかで嗅いだような香のような香りが鼻腔を擽った。
エキゾチックで外国の香りのような…
すぐにわかった。これは…
「…何で…蘇枋の香りが沙良ちゃんに…」
ふつふつと湧く苛立ち…
俺の気も知らずに、沙良ちゃんは俺にもたれたまま、気持ちよさそうに眠っていた。
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バス停近くになると、沙良ちゃんの肩を揺すって起こし、外を見つめた。
『条君ごめんね…肩…痛くなかった?』
「…………」
『っ…ごめん。ずっと体重かけちゃったから…』
気にする沙良ちゃんの腕を掴むと、顔を近づけた。
「沙良ちゃん…俺の次は蘇枋なの…?」
『…っ…?条君…?どういう……』
「沙良ちゃんの髪から蘇枋の匂いがぷんぷんする…
近くにいなきゃこんな風につかないハズだよ…
蘇枋と…キスでもしたの?」
腕を掴む手に力が入る。
『痛っ……条君…
蘇枋君とは…昔会った事があるって今日知って…話をしたの。近い距離で…だからっ……』
「知り合いだったの…?蘇枋と…」
成る程。だからか…