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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第7章 ※本当の私



「沙良っ……後で…店に行ってもいいか…?
一回きちんと話しときたい…」

私を見つけた後、ずっと無言だった梅くんに呼び止められ、ビクリと体が強張る。


『………』

何て言ったらいいのかわからない…

言葉が出てこずに俯いてしまう。

「何か俺…前から思ってたけど…
お前のこと困らせたり、不快にしたりしてばっかだな…」

ふっ…と笑い、梅君も俯いた。


『…ちがっ…私が…勝手に…』

「何かあったの?梅宮…」

条くんが話に加わる。

「いや…こっちの話だ…」

私に気を遣ったのか、梅君は口を噤んだ。


『……ごめんね…今日はお店の事しないと…
また…お願いします。』

そう言って頭を下げ、校門を出た。

「沙良…明日の事、また連絡するわね。」

椿さんが遠慮がちに手を振り、晴竜さん、雨竜さんも頷いた。
会釈すると、条君と商店街の方に向かって歩き出した。





ーーーーーーーーーー

「沙良ちゃん…ホントにどうしたの?」

条くんの声色から、少しイライラとしているのがわかった。
言った方がいいのかな…

『梅君に……梶君との事が…バレていて…』

「梶の事?…何で…?」

『梶君と一緒に…夜家に帰ってきた日…
帰り道で梅君と柊さんに会って…梶君は2人に呼ばれてポトスに行ったの…多分その時…』

「…そっか。でも梶はそんな事話すかな…
まぁ、それで?」

『何て言ったらいいかわからなくて…
学校の中で逃げてしまって…そのまま…
帰ってきたの…』

「ふぅん……」

『梶君とそういう事をしておいて梅君に隠したいとか…
虫が良すぎるよね…』

「そうだね…沙良ちゃんは自分勝手で狡い子だよ。」

『……だよね…』

涙が溢れる。


『人を好きになるって…
説明書とか解答があるわけじゃないから…
何て言ったらいいかとか…どうしたらいいかとか…
わからなくて難しい…』

せっかく久しぶりに梅君にも会えたのに、勘違いさせてしまった。

梅君が私を不快にさせているのではなく、梅君を私が不快にさせている。

けど…本当にどうしたらいいのかわからない。


そっと、温かい手が頭に触れる。

「ふっ…思ってないからね、今の…
辛いならやめちゃったら…?梅宮を好きでいるの…」

条君が優しい笑みで言った。
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