第37章 FRIENDS
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ローテーブルとソファを移動させ、広くとったリビングに折りたたみ式のマットレスを二組敷き、ベッドマットを掛ける。
寝室から掛物と枕、クッションを取ってくると、扉を開ける音と同時に騒がしくなる。
「あっつーい!」
左右に結っていたウタの髪はしっとりと濡れたままで、肩に掛かるタオルがその水気を吸っている。
「ウタちゃん、ドライヤーする?」
後からドライヤーを手にしたジウが戻る。
「ウタの風呂、ありがとな」
「お布団の用意、ありがとう」
ちゃんと乾かせよ、と半乾きのジウの髪を撫でる。
「ルフィ!風呂入るぞ」
着替え持って来い、と呼ぶと、ダイニングテーブルで動画配信サイトを徘徊していたルフィが、タブレットを置いてぴょんと椅子から飛び降りた。
「ジウ、髪やって」
「はーい。寝る時はおろしてる?緩く纏める?」
「降ろしてるけど、なんか、可愛くできる?」
甘えた目で見上げるウタに、そうねぇ、と考える。
「編み編みパーマしてみる?」
「あみあみ?」
こんな感じ、と携帯で検索して画像を見せる。
「寝る前に髪を編んでおくと、クセがついて朝解くとパーマかけたみたいな髪にできるよ」
わあ、と目を輝かせるウタ。
「アイロンかけてもいいなら、こんな感じもできるし」
髪洗うとクセが解けるから学校も平気だよ、と伝えると、やる!と嬉しそうに答えた。
どんな感じが良い?と携帯を渡して一緒に選ぶ。
「コレ、できるかな?」
「大きめの編み込みでやってみようか?」
ゆるふわなアレンジ画像を指さし、うん、と嬉しそうに頷いたウタを鏡の前に座らせ、一度、髪を乾かしてから霧吹きタイプのフォームで纏めて編んでいく。
ルフィの叫び声がバスルームから聞こえ、何事?とウタとそちらを見やる。
「ほんっと、子どもなんだから」
やれやれ、というようなウタ。
「そういえば、デートはしたの?」
以前の『相談』についての進捗が気になって聞いてみると、ふえっ?!とウタの頬がより赤くなった。
「えっと...あの、今度、近くの公園で...」
モニョモニョと言い淀んで指先を絡めるウタ。
「素敵なデートができるといいね」
うん、と嬉しそうに微笑んだウタ。
出来上がった編み込みに、可愛い!とヴァイオレットの瞳が輝いた。