第37章 FRIENDS
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微かな瞼の痛みに意識を引っ張られて目を開ける。
頬にあたる枕からゆっくりと頭を起こすと、掛けられた布団が捲れ落ちる。
ライトが落とされたリビングに目を凝らすと、テレビの前に敷かれた布団で、ルフィ、ウタ、ジウが眠っていた。
確か、と昨晩のことを理解して時計を見上げると、意識を無くしてから3時間ほど経っていた。
久しぶりに夜中に目が覚めたな、と再び寝入ろうとする。
なかなか眠気が来ず、変な時間に目が覚めてしまった、と床に座り込む。
大人しい態勢で眠るウタ、ジウと、布団を捲りあげて腹を出して寝ているルフィ。
暫くは3人の寝顔を眺めて眠気が来るのを待ったが、一向に来る気配が無いので諦めて仕事でもするか、と考えたが、もう少し寝ておかないと目覚めた二人の相手をする自信がなかった。
(歳ってこういう時に痛感するよな)
少し前までは二、三徹くらい余裕でできてたのに、と苦笑いをする。
枕と布団を手に寝室へ向かい、ベッドに潜り込む。
ごろり、と寝返る。
しっくりこない姿勢に、また、寝返る。
なかなか落ちない意識に、ムクリと起き上がった。
「寝れねぇな、」
薬に頼ろうか、と念の為に未だに常備している睡眠導入剤が保管された書斎に向かう。
薬の入った引き出しに手をかけたまま、どうするか、と考える。
眠れない理由が、それじゃないことに気づいていた。
(ジウの香りは、多少するんだよな)
藤とはちみつの香りがかすかに残る寝具。
(やっぱ、本人がそこにいるのに腕の中にいないってのがなぁ)
仕方がない、連れてくるか、と書斎を出る。
三人の位置をよく確認し、二人を起こさないようにジウを抱き上げる。
「ん、」
寒そうに身を寄せてきたジウを強く抱えて寝室へ運ぶと、いつもの位置のベッドに入る。
頭の下に腕を通し、片足で腰元から抱き寄せて髪を撫でる。
(ん、やっぱこうだな)
足を絡めて抱き寄せると、はちみつの香りの髪に鼻先を埋めて目を閉じる。
瞬間襲ってくる眠気に、睡眠導入剤なんかよりも依存性が高いんじゃないだろうか、とゆっくりと深くジウの香りを吸い込んで眠りに落ちた。