第37章 FRIENDS
✜
カチャ、と小さく開いた扉。
「寝てる?」
「寝てるぞ」
ヴァイオレットとブラックの瞳が隙間から覗く。
「そっとだぞ」
「静かにね」
抜き足差し足忍び足、とディープブルーのシーツがかけられたワイドロングのベットに近づく。
ひょこ、と覗くそこには、寝息を立てる赤い髪。
よし、と頷きあった二人は、いそいそと乗り上がって、少し足場の悪いベッドマットに立つ。
「よし」
「いい?」
せーのっ!の掛け声で、バッと両手を上げる二人。
「「さんっにーいちっ!!!!」」
そのまま、ボフッ!と倒れ込んだ。
✜
砂糖とバターの香ばしく甘い匂いが立ち込める。
焼き目をつけた輪切りのボロニアソーセージとサラダに、黄金色に焼けたフレンチトースト。
できたよー、とリビングにプレートを運ぶが、お腹すいた!と朝から元気な二人が見当たらない。
「ウタちゃん?ルフィくん?」
洗面所?とテーブルにプレートを置くと、低い叫び声が聞こえて廊下に顔を出す。
ケラケラとした笑い声が聞こえて、ルフィくん?ウタちゃん?と、扉が開けっ放しの寝室を覗いた。
リビングで3人と寝るには狭かったのか、いつの間にか寝室に移動していたシャンクスの上で笑い転げる編み編みヘアのウタと寝癖頭のルフィ。
ぐお、と布団の中でうめきを上げて蹲るシャンクスが、無言で二人を指さして、痛むらしい腹を指差す。
「あー、」
眠る彼に二人して飛び乗ったのか、と理解し、ベッドに掛ける。
「ルフィ君、ウタちゃん。『シャンを起こしてきて』とは頼んだけど、『飛び乗ってきて』とは頼んでないかな」
苦笑いで、苦しむシャンクスの背中を擦る。
「けど、シャンクスは寝起き悪いから、強く起こさないといつも起きないんだよ」
「ほっといたら昼過ぎまで寝てるぞ」
「頑張って起こすのはいいけど、程々にね」
うげ、と仰向けにベッドに沈み込むシャンクス。
「朝から熱烈だな」
「6時前には起きてたよ」
「早すぎるだろぉ〜」
天気いいぞ!とルフィがカーテンを開ける。
眩しそうに顔を擦るシャンクスの腕をウタが掴んだ。
「おーきーるーのー!もう7時半!」
「まだ7時半っ?!」
夜中に一度目覚めてしまった身としては辛い時間だ。
「おーきーてー!」
「おーきーなーいーっ」
イヤだっ!と拒絶するシャンクスに、ルフィも、腹減ったぞー、とウタに加勢した。
