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依々恋々 -Another story-

第37章 FRIENDS


メリー・ゴー・ラウンドにフリーフォール、謎解き迷路等を連れ回され、少し休ませろ、とベンチに腰掛けたシャンクス。

「おじさんみたい」
「うるせぇな、小学生のバカ体力と一緒にするな」
フードトラックで買ったアイスコーヒーをストローで吸い上げながらシャンクスはジロッ、とウタを見た。

「ジウは平気でしょ?ねえ、あのお店行きたい」
「どこ?」
ウタが指さしたのは、ベンチの眼の前のログハウス風の建物。
ウタに手を引かれて、店のショーウインドウを覗くジウとルフィ。
店へと入っていく3人の後ろ姿を追って店内に入ると、可愛らしい雰囲気にウタは、わー!と笑顔でくるくると回った。

ねえ、と手を引くウタを見下ろす。

「一個だけ買ってもいい?」
一丁前の上目遣いで指さされた先のぬいぐるみたちに頷く。

可愛らしいぬいぐるみを選ぶウタ。
変な顔だな〜、と個性的なぬいぐるみにゲラゲラ笑うルフィ。
少しかかりそうだな、と店の片隅に立つ。

しばらくして、ウタの隣りにいたジウの姿が見当たらずに、店内をぐるっと見渡す。

(いた、)
店内の角の陳列棚の前。
唇に指先を当てて佇む横顔に、何に悩んでんだ?と歩み寄る。
あと一歩で隣に並ぶ、という時。
ジウの手が棚に伸びた。
その手に抱き上げられたのは、可愛らしくデフォルメされた赤毛のライオンのぬいぐるみ。
よくメッセージとともにジウに送っているイラストのライオンと似ている。

「んー」
悩ましい声で、抱き上げたライオンの目元を撫でるジウの肩口に顔を寄せる。
「欲しいのか?」
「っひゃあっ!」
驚いて振り返ったジウの腕に抱かれるライオン。
「お、驚かさないでっ」
「すまん」
買ってやろうか?とジウの髪を撫でる。
「い、いいよ!自分で買うっ」
そ、と右手でライオンの頬を撫でたジウが、上目に見上げてきた瞳を逸らした。

「どうした?」
頬を撫でてこちらを向けさせると、別に、とライオンを抱き締めて頬を赤らめた。

「なんだよ?」
今度はじっと上目に見つめてくる。

「あの刺繍って名前だけ、よね」

あれ、とジウが指差す先には「刺繍承ります」の文字。

悩ましげに赤毛のライオンの左目辺りを撫でるジウ。

「傷の刺繍って、無理かなぁ」

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