第37章 FRIENDS
わぁーっ、とキラキラした瞳で辺りを見回す二人。
「っシャンクス!どれ乗ってもいいのか!?」
「ああ」
ほれ、とブラックジーンズにジップアップパーカー、スニーカーというラフな格好のシャンクスは、ルフィとウタの首にパスを掛けてやった。
「無くしたらアトラクションに乗れなくなるぞ」
「「うん!/おう!」」
どれに乗ろうか?と二人でマップを覗き込む。
手元の2つのパスの内、1つをジウに渡そうと振り向く。
ポカリ、と口を開けて入場ゲートに施された季節の装飾を見上げているジウ。
髪飾りの装飾がキラリ、と反射して目を細めた。
「ジウ」
「っはい?あっ、何?」
パチパチと瞬きをするジウの手を取る。
「人に酔ってないか?」
軽やかな音楽。
賑やかしい装飾。
時折見かけるキャラクターの着ぐるみやキャスト。
完璧に作り上げられた世界観。
「遊園地、苦手か?」
やめとくか?と続く言葉に慌てて首を振った。
「っ大丈夫。けどっ、なんかどうしたらいいかわからなくて」
「どうしたらいいかわからない?」
楽しめばいいだろう?と言うシャンクスに、そうだね、と頷く。
そこでハッとした表情をしたシャンクス。
「もしかして、お前、はじめて...?」
「あ、うん。その、もしかしてです」
あはは、と誤魔化すように笑ったジウに、あちゃー、と額に手を当てて空を仰ぐ。
「しまった、」
「え?!どうしたのっ?」
来ちゃまずかった?と慌てるジウの手を強く握る。
「二人の時に来りゃよかった」
「え、この年で遊園地?」
どうなんだろ、と首を傾げて見上げてくる。
「クソ〜。まさかこんなトラップがあるとは」
ええ、と首を傾げるジウの手を引き寄せる。
「ジウの『初めて』、独り占めしたかった」
落とし穴だったなぁ、と心底悔しそうにするシャンクスをキョトン、と見上げていたジウは、ふふっ、と俯いて肩を揺らす。
「なんだ?どうした?」
「もうっ、シャンったら...」
可愛いんだから、と言いかけたジウは、何だよ?と見下ろすシャンクスに、なんでも無いよ!と言って、行こっ!と温かな大きな手を引いた。