第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
ーアリアネ・イリアス・フリートsideー
ハグリッドの小屋から帰ろうとした途中、私は話があるとハグリッドに引き止められた。
ハリー達には先に行ってもらうように言い、私はハグリッドがおかわりで入れてくれたお茶を飲む。
「ハグリッド、話って?」
「最近、おまえさんはよく無茶をしとる。前は頭を怪我をしたりと。喧嘩っ早いのは分かるが、あんまり無茶はせんといてくれ。ウィリアスとヘレンがあっちで泣いちまうからな」
「あら、もしかしてお説教?」
お説教は聞きたくないと私は頬を膨らませた。
周りの人はよく、私に『無茶をしちゃだめ』『女の子だから怪我をしたら良くない』と言う。
怪我をしたらしたで、とてつもなく心配をされるのだ。
「過保護は嫌よ」
「仕方ないだろう?おまえさんは、ただ1人生き残ったフリート家の末裔なんだからな。みんな、その血を大切にしようとしとる」
「……魔法族の旧家なんていくらでもいるでしょう」
ボソリと呟けば、ハグリッドは頭を横に振る。
「それだけじゃない。知っとるだろ、おまえさんに流れる血は特別だ。『例のあの人』さえ狙っていた特別な血なんだ。『不老不死の血』と呼ばれるその血を」
フリート家は、かつて龍を倒しその血を浴びたことにより不老不死となった『ジークフリート』と呼ばれる人間の末裔だと言われている。
確かにフリート家は長命であったと言われているけれど、実際に不老不死なのかどうかは分からない。
だけど、その血を求める人間は多い。
ヴォルデモートもフリート家の血を狙っていたと言われているし、私は半純血ではあるけれどフリート家の直系の血を引き継いでいる。
「不老不死なんて、そんなのただの言い伝えよ」
「まあ、そうなんだがなあ。ただ、俺はウィリアスからホグワーツでおまえさんが来たら守ってくれと言われてるんだ。フリート家の血は絶やすことはなく、おまえさんを死なせることなく守って欲しいと」
「フリート家の血を絶やすことなく……」
「そうだ。フリート家の血がもし本当に不老不死ならば、人を助けることが出来るかもしれん。ウィリアスはこう言っておった」
でも本当に不老不死なんかは分からない。
人を助けることが出来るとも限らないのにと私は心の中で呟いた。
「まあ、不老不死という証拠はねぇがな。魔法族は長生きする生き物だからな」
