第2章 小豆娘
「足…」
「次は足ですか?」
ふふっと笑いながらも、は言う通りに足を前に出してくれる。
「昨日のまま来ちゃいました」
「こっちはもう痛くないのか?」
「はい!寝たら治りました!」
「ならば良かった。この草履では歩きにくいだろう」
「いえ!そんな事ないですよ。本当は履き替えなきゃいけないんですけど、履き物はこれしか持ってなくて…」
替えがない…とあらば、これは丁度良いのではなかろうか。
風呂敷きを広げ、さらに紙に包まれた草履を手渡そうとそれを持ち上げた、その時…
「そこでなんですが!」
「⁈」
が突然大きな声を出す。
何事だろうか。
「冨岡さんがよかったらなんですが、一緒に履き物屋さん行きませんか?」
「……」
その手があったか!
一緒に行って選べばあれやこれや悩まずに済んだというのに。
あの時間は一体なんだったのだろう。
出しずらい…
だが今渡さなければいつ渡すというのか。
趣味じゃないわ!と言われるのを覚悟して、俺は包み紙ごとそれを渡す。
渡されたの顔は「?」だった。
「これは…?」
「…実は、先に行ってきた」
「履き物屋さんに?そうだったんですか。……は!」
何が起こったか理解したは、急いで俺から受け取った包み紙を開ける。
「草履です!わざわざ買ってきてくださったんですか?」
「そう…だ。必要だろうと思った」
「ありがとうございます!」
受け取ってもらえた。
一先ず安心だ。
「好みでなければ突っ返してもらって構わない」
「まさか!お花柄かわいいです!これ冨岡さんが選んでくださったんですか?」
「……」
弟弟子に励まされながらあれこれと悩み、なかなか決断出来なかった…
とはとてもじゃないが言えなかったので、黙って頷くだけにした。
「本当に⁈嬉しいです!大切にしますね」
ぱっと花が咲いたように笑う。
無駄だったのかもしれないと思ったあの時間…
そんな事もなかったのかもしれない。
この笑顔が見られたのだから。