十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
そんなに強くはないけど、一応アルコールってだけあって、それなりに酔いは回って来るわけで…
疲労感たっぷりの身体は、襲って来る睡魔に、戦わずして白旗を上げた。
床にゴロンと転がると、ヒンヤリと、した感触が火照った身体に気持ち良い。
僕はそのまま眠りに落ちた…つもりだったけど、ふと前に良く言われてた言葉を思い出して、ベッドから掛け布団だけを引き寄せ、くるまった。
「智くん、んなとこで寝てっと風邪ひくぞ」って…
でも僕は言うんだ「大丈夫」だって。
で、案の定風邪を引いた僕に、また翔くんは言うんだ…
「だから言っただろ」って。
今となってはもう懐かしい思い出でしかないけど、でもなんでだろうね?
こんな時にばっか、翔くんとのこと思い出すなんて。
あ、そっか、翔くんのネックレスを持ってるから?
だからなの?
今更どれだけ僕が想ってたとしても、翔くんはもう別の人のものなのに…
僕は動かしたくもない手を動かし、ポケットから翔くんのネックレスを取り出すと、ネックレスを壁に投げつけるべく腕を振り上げた…けど出来なかった。
勝手に思うくらいは良いよ…ね?
だって僕はまだ…
僕はネックレスを両手でギュッと握り締めると、閉じ掛けの瞼をしっかり閉じた。